堂々と、緊張感をもって。

先日、大好きなフレンチでお食事をしました。ちょっとした家族会議も執り行い、今後のことを話し合う機会にもなりました。ゆっくり流れる食事の時間では、いろんなことを話し合えるので、おすすめです。

そのお店、帰りには必ずシェフが出てきてご挨拶いただくのですが、「いつもありがとうございます。いや、緊張します!」とおっしゃいます。
料理人は自分の感性と料理の理論と技術、ひいては腕一本で勝負するお仕事。たしかに緊張すると思います。
そのお店は、スタッフの方も勉強熱心です。ジョエル・ロブションでお食事をした際にも、きちんと店名と氏名を名乗って「勉強させてください」と堂々といらっしゃったそうです。(※お料理の世界では、他のお店に勉強に行くときは、必ずこのように名乗ります。少しおまけをしてくれたり、ちょっとしたヒントを教えてもらえるそうです。同業他者に対する敬意があって、素晴らしいですね。)

翻訳者も同じとまではいきませんが、共通することは多々あります。
堂々とする。そして緊張感を忘れない。
茶道も同じく、堂々と客人を迎え入れ、緊張感をもって茶事を進めることが大事です。「緊張感こそがご馳走」と利休居士が言葉を遺しているとも言われています。

翻訳者としても仕事人としても、緊張感を忘れずに業務を遂行したいものです。

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

大法廷と小法廷の意義

ご存知のとおり、最高裁判決は日本でも一番効力のある判決です。
でも、その最高裁にも大法廷と小法廷がある、というのは一般的にご存じない方も多いようです。

大法廷は15人の合議体です。大して小法廷は5人。この差は大きいですね。
また、公平な審理のため、諮問委員会を発足し、学識経験者、検察官などが委員として答申にあたります。これも大きな違いです。

国民にとって最高裁判決は重要な決定です。でも時代と共に古くなる判決もあります。過去の最高裁判決(憲法は戦後なので最高裁判決、民法については明治期からの判決を含むので、大審院判決)を覆す判決は非常に重たいもの。そのような過去長きにわたって有効とされてきた判決を覆す場合には、大法廷を開きます(他にも大法廷を開く理由は多々ありますが、ここでは割愛します)。

裏を返すと、そのように最高裁判決まで進んだ事案を覆すような判決というのは、なかなか存在しません。似た案件は数多くありますが、大くは今まで出た判決から答えが導き出せます。ですから、大法廷判決そのものの絶対数が少なく、なおのこと価値を増すといえます。

最高裁判決が出たときは、大法廷か小法廷かに注目してみるのが、法曹関係者の基本的なスタンスですね。いずれもすぐには変更はされませんが、小法廷ならしばらく経ったら覆る判決が出る場合もあります。一方、大法廷だと覆る可能性はまずありません。少なくとも数十年間は。
大法廷判決はそれほどに効力を発揮し、司法の考え方の筋道をつけているといえます。

あるタレントさんが「最高裁まで闘います!」とおっしゃっているようですが・・・離婚訴訟で最高裁というのはちょっとないかな・・・。

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

理想を語る、現実を知る

憲法には、「プログラム規定」という説があり、一部条文についてはこの「プログラム規定」が適用されるとして解釈されます。

「プログラム規定」とは、「将来、みんなでこのようになれるといいね!」という理想像を語っているものです。もちろん、この条文を一から打ち壊すことは憲法違反となり得ますが、「理想像」に従わないからといって罰則をむやみに与えることはできないのです。
社会がどこに向かうべきかを明文化しているので、迷うときには読んでみるといいと思います(私は特に前文が好きです)。

さて、このところ、政治家の行動が違憲ではないかと取り沙汰されています。
憲法は「プログラム規定説」のように「理想を語る」側面があるため、個別具体的なことを規定してはいません。特に人権条項については、ふわりとしたイメージで記載しているだけです(統治条項はそれなりに詳しく規定していますが)。

そこで重要になってくるのが、過去の判例です。
日本の法律解釈は、判例主義をとっている側面もあり、今までの判例がどう積み重なってきたか、がポイントです。特に最高裁まで進んだ判決については、「日本がこれからどう進むか」を規定しています。時に最高裁でも「これはちょっと・・・」と思うような判決を出すこともあり、争いがあるのも否めません(ちなみに、一審判決の方が庶民感情に即した判決を出す傾向にあるとも言われていますね)。

判決文は長くて読みづらいのですが、判旨も出ていますので、気になることがあったら過去の判例を探してみてはどうでしょうか。

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

法文を読む―辞書!②

法文を読んでいると、知っていると思っていても実は知らないことにぶつかります。
というより、知っていると思い込んでいるので、間違いを間違いと思わないのです。

たとえば、「社員」という単語。
本来ならば、会社の社員=従業員という意味合いで使われますね。

でも実は、会社法では「社員=株主」なんです。会社法に則って訳す場合は、株主の方が適切な場合もあります。株式会社では特に「株主」とする場合が多いようですが、ケースバイケースですね。

今回、こうした言葉と知識を補うため、こんな本を買ってみました。アーガイルの表紙がきれいな辞書です。

デイリー法学用語辞典(三省堂)

こちらで「社員」を引いてみると、定義を詳しく書いています(「従業員」とは書いていません)。

今、私が参加している講座では、「中学生でも知っている単語すら辞書で引く、をモットーにしましょう」と言われます。「『知っているからいいや』ではなくて、『合っているから次に行こう』という確認のために引くんです」と先生に言われました。なるほど、です。

最近、Japan Knowledgeのメンバーになり、「社員」が気になって調べてみました。
日本大百科全書には、法律上の用語としてトップに出てきました。
和英辞典もいくつか調べてみましたが、唯一それらしい記載が出てきたのは、ビジネス技術大辞典(いわゆる「うんのさんの辞書」)です。ただ、こちらも詳しい説明はありません。
(この辞書は、ビジネス系・技術系だけでなく、法務系にも強いです。私は迷ったら参考にしています。)

「社員」という簡単な単語でも、思わぬトラップがあるなあ、と実感しました。しかも大抵は、和英を引いて載っていたらそれが正解と思ってしまいます。でもこの単語については、日本語の定義自体が大事、ということですね。

だったらどこから読み解くのか。
やはり、専門知識と文脈のいずれかになると思います。
会社法の授業を取ったことがあるか、文脈の流れからおかしいと感じるか、です。ただ文脈といっても、短い文章だとおかしいと感じることができないかもしれません。できれば両方の知識と、どの辞書を見るかという経験値が重要なんでしょう。

今、ウェブ講座で会社法をやっていますが、とにかく長いんですね。全てを網羅することはできないので、重要箇所だけをかいつまんでやります、と先生も言われます。翻訳者としてはできるだけ網羅的にやりたいところですが…あとは自主的に書籍で勉強するしかないのかもしれません。

ちなみに、会社法は私法なので、民法と似た箇所が多くあります。
民法とセットで勉強すると、わかりやすいかも。

2017-05-30

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

辞書!①

ある文芸翻訳の講座に通い始めました。
以前も受講したことのある先生の講座です。
産業翻訳者にとっても非常に有益なお話が多く、毎回刺激をもらっています。

前回のレッスンでは、「中学一年生の単語でも辞書を使いましょう」というものでした。知っていると思っている単語でも、辞書を開けることが大事、ということです。

例題で出てきた文章は時事英語で、私もお仕事でよく遭遇するものでした。
身近なフレーズで間違えやすいものとして列挙されると、さすがに身が引き締まります。自分も同じような間違えをしていないか、と客観的に見直すいい機会になりました。

フリーランサーは一人で仕事をすることがほとんどです。実際には大抵の場合、チームで仕事をしていますし、そのチームワークに対する想像力を生かしながら進めていきます。ただ、家での作業は一人のことが多いですね。英語力を高めるだけではなく、他の人の視点を得るためにも、こうした講座を利用するのは役に立つと感じました。

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

お仕事前の儀式

いつも仕事をする前に儀式のようにやっているのは、ちょこっと掃除です。

たくさん片付けるわけではなく、ほんの数分だけ、机周りを拭いたり、積ん読の山を動かしたりといった程度です。ですので、片付けというほどですらありません。

翻訳のお仕事で家にいることが増えてから、眼の前のホコリやチリが気になるようになりました。パソコン周りだけで仕事をするからでしょうか。仕事をしていると少しずつ散らかってきます。細々したものを仕事前に片付けると、目に見えて環境が変わりますので、やる気も増します。あまりきれい好きではなかった私ですが、仕事の環境だけは少し整えることができるようになったのは、フリーランスになってから。不安定な仕事ではありますが、得るものもありますね。

仕事をする前の「気合い入れの儀式」は、他にも色々あります。顔を洗う、好きな香りを漂わせる、ラジオをかける、スケジューラーを確認、過去のデータを見て類似案件の訳出スピードをチェック。最後の方は具体的な仕事の前の確認事項ですが、こういったことも仕事モードに切り替えることにつながると思います。

今年のGWは大そうじとリフォームを大々的にやったのですが、私の仕事部屋だけはまだまだかかりそうです。書籍と着物と洋服の山を見るだけでげんなりしますが、片付くときっとものすごい気合いが入るんだ、と楽しみでもあります。

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。

ジャンプする

いつも勉強するときに心がけていることは、「ちょっと背伸びする」ことです。
若い頃はこの背伸びというよりも、ジャンプ、いや盛大な助走をつけた大ジャンプをしすぎて、心身共に疲れ切っていました。手の届かないところを目指しすぎたんですね。

Michael Craig-MartinというアーティストのAn Oak Treeという作品があります(実際のギャラリーでは、背の高い人が背伸びをしても届かない場所に、作品が展示されています)。
この作品のように、目指すところは見えていて、やりたいこともわかっていて、でも手が届かない、という状態は誰にでもあると思います(作品の解釈はかなり複雑なので、ここでは触れません。ただ素直に作品の「状態」だけを述べるに留めます)。ちょっと背伸びすることで自分が大きく成長できるので、とてもオススメです。

ただ冒頭でも述べましたが、自分の状態をわかっていないと無理な背伸びをしすぎてしまいます。
私は背伸びではなく「ジャンプする」方が好きで、「これは無理でしょ」という場合でも無理をしてしまう傾向にあります。大ジャンプではなく、ちょっと背伸びする、くらいがちょうどいいはずなんですが…。

GWは家にいることが多く、普段できないことをやるのですが、今年は三日間カンヅメ民法研修への参加を決行することにしました。先生の「みんなを地獄に連れて行くからな!」という大号令のもと、ちょっと地獄を見てこようと思います。
これは…大ジャンプなのか、それともちょっと背伸びなのか…法学初学者なのでまったく見えないところですが、がんばってきます!

○o。+..:*○ マド ○o。+..:*○

クリックで画像表示されます。
連打OK。10種類。