法文を読む―辞書!②

法文を読んでいると、知っていると思っていても実は知らないことにぶつかります。
というより、知っていると思い込んでいるので、間違いを間違いと思わないのです。

たとえば、「社員」という単語。
本来ならば、会社の社員=従業員という意味合いで使われますね。

でも実は、会社法では「社員=株主」なんです。会社法に則って訳す場合は、株主の方が適切な場合もあります。株式会社では特に「株主」とする場合が多いようですが、ケースバイケースですね。

今回、こうした言葉と知識を補うため、こんな本を買ってみました。アーガイルの表紙がきれいな辞書です。

デイリー法学用語辞典(三省堂)

こちらで「社員」を引いてみると、定義を詳しく書いています(「従業員」とは書いていません)。

今、私が参加している講座では、「中学生でも知っている単語すら辞書で引く、をモットーにしましょう」と言われます。「『知っているからいいや』ではなくて、『合っているから次に行こう』という確認のために引くんです」と先生に言われました。なるほど、です。

最近、Japan Knowledgeのメンバーになり、「社員」が気になって調べてみました。
日本大百科全書には、法律上の用語としてトップに出てきました。
和英辞典もいくつか調べてみましたが、唯一それらしい記載が出てきたのは、ビジネス技術大辞典(いわゆる「うんのさんの辞書」)です。ただ、こちらも詳しい説明はありません。
(この辞書は、ビジネス系・技術系だけでなく、法務系にも強いです。私は迷ったら参考にしています。)

「社員」という簡単な単語でも、思わぬトラップがあるなあ、と実感しました。しかも大抵は、和英を引いて載っていたらそれが正解と思ってしまいます。でもこの単語については、日本語の定義自体が大事、ということですね。

だったらどこから読み解くのか。
やはり、専門知識と文脈のいずれかになると思います。
会社法の授業を取ったことがあるか、文脈の流れからおかしいと感じるか、です。ただ文脈といっても、短い文章だとおかしいと感じることができないかもしれません。できれば両方の知識と、どの辞書を見るかという経験値が重要なんでしょう。

今、ウェブ講座で会社法をやっていますが、とにかく長いんですね。全てを網羅することはできないので、重要箇所だけをかいつまんでやります、と先生も言われます。翻訳者としてはできるだけ網羅的にやりたいところですが…あとは自主的に書籍で勉強するしかないのかもしれません。

ちなみに、会社法は私法なので、民法と似た箇所が多くあります。
民法とセットで勉強すると、わかりやすいかも。

2017-05-30

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辞書!①

ある文芸翻訳の講座に通い始めました。
以前も受講したことのある先生の講座です。
産業翻訳者にとっても非常に有益なお話が多く、毎回刺激をもらっています。

前回のレッスンでは、「中学一年生の単語でも辞書を使いましょう」というものでした。知っていると思っている単語でも、辞書を開けることが大事、ということです。

例題で出てきた文章は時事英語で、私もお仕事でよく遭遇するものでした。
身近なフレーズで間違えやすいものとして列挙されると、さすがに身が引き締まります。自分も同じような間違えをしていないか、と客観的に見直すいい機会になりました。

フリーランサーは一人で仕事をすることがほとんどです。実際には大抵の場合、チームで仕事をしていますし、そのチームワークに対する想像力を生かしながら進めていきます。ただ、家での作業は一人のことが多いですね。英語力を高めるだけではなく、他の人の視点を得るためにも、こうした講座を利用するのは役に立つと感じました。

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お仕事前の儀式

いつも仕事をする前に儀式のようにやっているのは、ちょこっと掃除です。

たくさん片付けるわけではなく、ほんの数分だけ、机周りを拭いたり、積ん読の山を動かしたりといった程度です。ですので、片付けというほどですらありません。

翻訳のお仕事で家にいることが増えてから、眼の前のホコリやチリが気になるようになりました。パソコン周りだけで仕事をするからでしょうか。仕事をしていると少しずつ散らかってきます。細々したものを仕事前に片付けると、目に見えて環境が変わりますので、やる気も増します。あまりきれい好きではなかった私ですが、仕事の環境だけは少し整えることができるようになったのは、フリーランスになってから。不安定な仕事ではありますが、得るものもありますね。

仕事をする前の「気合い入れの儀式」は、他にも色々あります。顔を洗う、好きな香りを漂わせる、ラジオをかける、スケジューラーを確認、過去のデータを見て類似案件の訳出スピードをチェック。最後の方は具体的な仕事の前の確認事項ですが、こういったことも仕事モードに切り替えることにつながると思います。

今年のGWは大そうじとリフォームを大々的にやったのですが、私の仕事部屋だけはまだまだかかりそうです。書籍と着物と洋服の山を見るだけでげんなりしますが、片付くときっとものすごい気合いが入るんだ、と楽しみでもあります。

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ジャンプする

いつも勉強するときに心がけていることは、「ちょっと背伸びする」ことです。
若い頃はこの背伸びというよりも、ジャンプ、いや盛大な助走をつけた大ジャンプをしすぎて、心身共に疲れ切っていました。手の届かないところを目指しすぎたんですね。

Michael Craig-MartinというアーティストのAn Oak Treeという作品があります(実際のギャラリーでは、背の高い人が背伸びをしても届かない場所に、作品が展示されています)。
この作品のように、目指すところは見えていて、やりたいこともわかっていて、でも手が届かない、という状態は誰にでもあると思います(作品の解釈はかなり複雑なので、ここでは触れません。ただ素直に作品の「状態」だけを述べるに留めます)。ちょっと背伸びすることで自分が大きく成長できるので、とてもオススメです。

ただ冒頭でも述べましたが、自分の状態をわかっていないと無理な背伸びをしすぎてしまいます。
私は背伸びではなく「ジャンプする」方が好きで、「これは無理でしょ」という場合でも無理をしてしまう傾向にあります。大ジャンプではなく、ちょっと背伸びする、くらいがちょうどいいはずなんですが…。

GWは家にいることが多く、普段できないことをやるのですが、今年は三日間カンヅメ民法研修への参加を決行することにしました。先生の「みんなを地獄に連れて行くからな!」という大号令のもと、ちょっと地獄を見てこようと思います。
これは…大ジャンプなのか、それともちょっと背伸びなのか…法学初学者なのでまったく見えないところですが、がんばってきます!

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広重と文章

以前、お友達と「原安三郎コレクション 広重ビビッド」展に行って来ました。

私の大学での専攻は版画でしたが、海外で学んだので日本の版画はいつも新鮮です。マテリアルに透明感があって、見ていて飽きません。

この「広重ビビッド」展では、実際の風景の写真と作品を見比べる、という企画がありました。
実際の風景と作品とを比べていると、広重のデフォルメを見て取れました。一枚の作品という制限の中で、風景を効果的に見せることに成功しています。構図を工夫することで、場所の特徴をうまく引き出せていました。

文章も同じで、上手な方は「ここぞ」というところを強く主張しています。文字の上で、あらゆるテクニックを駆使し、読み手に臨場感を抱かせる。ここを読み取れるかどうかで、翻訳の質が変わります。

一人の作家によるテクニックとはちょっと違いますが、産業翻訳の場合にも当てはまるときがあります。
判決文などは、複数名で書いていることが多いですね。明らかに文体の違う一文が組み込まれていると、戸惑います。前後とのつながりがあるようでないような、「うーん…」と思ってしまう文章に当たると、困ってしまうもの。
でも何かしらの意図があって組み込まれている文章なので、きちんと文脈を読むことで、判旨が何を言っているのかを理解することができます。産業翻訳は短時間決戦なので、本当に疲れるのですが、短時間でもきちんと文章を読み取ることを心がけたいと、広重を眺めながら思いました。

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民法改正

民法改正案が衆議院を通過しました。

今回変わるのは、債権の短期消滅時効、インターネットの約款、法定利率の引下げ、連帯保証制度、そして認知症などの判断能力が低下した人による法律行為について、などです。
今までの判例で確定しているものを明文化するものもあれば、大きく変わるものもあります。特に債権の短期消滅時効は、受験生にとって混乱してしまいます。予備校のテキストも変更されますね。

契約書の翻訳で重要なのは、Incoterms と呼ばれる、国際商業会議所が策定している貿易ルールです。民事では慣習を重視しますが、貿易の国際化に伴い、やはり統一ルールに基づいて取引を行うことが重要です。その点についての合意を、契約書に盛り込んでおくんですね。
このIncoterms も、数年前に大きく変更されました。
今回の民法改正はもっと複雑なものですが、きちんと見ておきたいと思います。日本の法律について知っておくことで、契約書を正確に理解しつつ翻訳できるように。

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【書籍】ファーストトラック 民法

民法の理解があまり進まないので、試行錯誤していたところ、この本を紹介してもらいました。

ファーストトラック 民法
伊藤真 著

法学系予備校伊藤塾が出している書籍です。
民法とは何か、をわかりやすく説明しています。

先日の「オックスフォード コンマ」訴訟のように、句読点一つが大きな問題となることも。
法律、特に民法の知識を身につけること、そしてリーガル特有の文体に慣れることは、翻訳者として重要です。
私もこの本で、民法の全体像を掴み、翻訳に生かしたいと思います。

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